フランス旅行情報メモ2:「ナント・パス」は買ったほうがいいのか?2019年01月27日 03:55

ナントのトラム路線図と謎の黄色ライン
ナントに行った旅行者を悩ませる問題が「ナント・パス(Pass Nantes)」を買うべきかどうかだと思います。トラム(路面電車)やバスなどの市内交通が乗り放題であるうえ、さまざまな施設の入場料を含むこの手の観光パスは、通常、かなりお得なので、滞在日数に合わせた商品があれば購入したほうがいいのでしょうが、ナントに関してはけっこう微妙です。なぜなら、そんなに大きな町ではないので移動にあまりお金がかからないのと(ものすごくがんばれば徒歩だけでもなんとかなる)、パスで入れる場所が、年々、少なくなっているからです。その割には、価格はそんなに安くはありません。

24時間:25ユーロ/48時間:35ユーロ/72時間:45ユーロ

しかし、綿密に検討した結果、やはりパスは「買い」だという結論に達しました。というのは、観光の目玉である「ブルターニュ公爵城(の博物館)+ナント美術館」だけで18ユーロし、これにジュール・ベルヌ博物館(僕が行ったときは工事中で閉館だった)やナント島のマシンを加えれば30ユーロ近くかかります。したがって、72時間パスだとしても、あと15ユーロで移動がタダになるのですから(しかもチケットを買う手間も省かれる)、やはり便利です。ちなみに、狭い街とはいえ、自由にトラムに乗れるなら、1日に6回以上は利用します。それだけで10ユーロ以上はするはずです。

なお、ナント・パスは城の西側(入り口の近く)にある観光協会(Nantes.tourisme)でしか買えないと思うので、着いたら、まず、ここに足を運びましょう。スタッフは親切なので、情報収集には欠かせません。

ナント美術館はけっこう規模が大きく、展示作品もバラエティに富んでいるので、美術が好きな人であれば楽しめます。個人的にはクールベの「小麦をふるいにかける女(Les Cribleuses de blé)」がよかった。彼の作品で初めて感心しましたね。あと、キース・ヴァン・ドンゲンが1枚あったのもうれしかった(けっこう好き)。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Mus%C3%A9e_d%27Arts_de_Nantes

さて、ここからはトラムの話です。ナントは、一度、廃止した路面電車を復活させたことで街の活性化に成功し、その成果を知った他のヨーロッパの都市でもトラム見直し論が巻き起こったという歴史的な都市です。なので僕も積極的に利用したのですが、車内で路線図を目にしたとき、「あれ?」と疑問を感じました。上の図をクリックしていただけるとわかりますが、左がガイドブックやネットなどで確認できる正式なもので緑・青・赤の3路線なのに対し、車内のものではもう1路線、黄色が加わっているのです。しかし、緑に乗りながら観察してみても、そこに線路はないので、謎。

そこで乗換駅で降り、黄線のホームらしきところに向かったところ、真相がわかりました。正式なトラムではなく、バスをトラム風に運用していたのです。ご丁寧なことにトラムと同じ2両編成であるうえ、多くの区間で専用線を走り、プラットホームも設けられていました。つまり、利用するうえではトラムとまったく変わりません。黄線の沿線には大きなショッピングセンターもあるので(真ん中の島の南側)、乗る価値は十分にあります。ただし、実態はバスであるメリットも活かし、黄線の一部を走りながら途中で他の道路に向かう市バスも併用されているので、乗るときは「トラム風なのか、ただのバスなのか?」をちゃんと見極めないと知らないところに運ばれてしまいます。

ここで言いたいのは、町を活性化していくうえでトラムはかなり有効だということ。そして、完全なるトラムが建設できなくても代替手段はあるので、もっと柔軟に考えるべきだということです。とにかく、ナントの市内交通システムは多くの都市にとって参考にしたい点がたくさんあるので、関係者は、ぜひ、視察してください。

https://en.wikipedia.org/wiki/Nantes_tramway

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