旅行会社は危うい商売、「てるみくらぶ」の破産騒動に関して2017年03月31日 02:18

旅行代理店「てるみくらぶ」の破産によって多くの人が迷惑を受けた。2年ほど前から経営的にはかなりやばい状況だったにもかかわらず、新規受付&入金を繰り返すことでなんとかやりくりしていたようだが、いつか破綻するのはわかっていたのだから、もう少し慎重に会社運営を続けるべきだったと思う。この点、完全に被害者に同情しているものの、一方で、世間一般の観光業界への認識の甘さにはあきれてしまったので、そのことを書きたい。

旅行会社は机と通信設備さえあれば業務ができる。お手軽に創業できる分、だめになるときも早い。これは、10年くらい前の旅行雑誌を探し出してきて、そこに紹介されている旅行代理店のうちの何社が残っているか調べればわかるはずだ。僕個人の経験でいえば、大学時代から40年近くのあいだに20社以上の旅行会社とつきあってきたが、今でも残っているの数社に過ぎない。8割以上は消えているはずで(倒産以外に買収・合併なども含む)、旅行業界とはそういうシビアな世界なのである。

つまり、旅行会社は他の業界より廃業のリスクが高く、いつ潰れてもおかしくはないのだから、そういう前提でつきあうべきだ。「そんなの、危なくて取り引きができないじゃないか!」と憤る気持ちはわかるが、実はリスクの判断はそう難しくない。要するに「他社より安い価格設定」は注意というわかりやすい構造になっている。

旅行商品を構成する足代や宿代は条件によって大きく上下するものの、情報はオープンなので、相場を利用して自分だけ儲けるのは難しい。今はネットで誰でも検索できるから、差別化するのは大変だ。それだけに、サービスで勝てない会社は身銭を切って安売りするしかなく、必然的に経営状況は悪化していく。

そんな綱渡りを続ける旅行会社でも数年は持ちこたえられるから、その間に商品を買った人は、大変、お買い得に旅することができるのだが、ただしそれはラッキーでしかないことを知るべきだろう。このような会社は、早晩、潰れるので、そのタイミングで申し込んでいた人は損をする。わかりやすくいえば「格安旅行会社を利用するのはロシアンルーレットをしているようなもの」なのだから、それなりの覚悟が必要だ。

明らかに相場より低い価格で販売している旅行会社は(「てるみくらぶ」は1~3割安いといわれた)、どう考えても無理してるわけで、それを「リスク込み」と受けとらなかったとしたら、資本主義社会への理解が低いとしかいいようがない。

安い旅行会社はいつか潰れる。だからこそ上手に利用すれば儲かるし、タイミングをミスった人は損をする。その事実は今後も変わらないと思う(もし全員に全額を保証したら旅行代金は値上がりしてしまい、結局、みんなが損をする)。

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