フランス旅行情報メモ1:10年経つといろいろ変わる?2019年01月23日 21:05

「いかにも」な写真も撮ってきました(笑)。
年末にフランスに行ってきました。大学生のころから数えると6回目の渡航ですが、前回が2008年だったので、もう10年以上経っています。そこで、この間の変化なども含め、感じたことをいろいろまとめていきます。あくまで私見なので、ご了承ください。

今回は、パリに加えてロワール川の下流に位置するナントにも行ってきました。フランスで6番目に大きい町で、パリからだと西に400kmほどの距離。モンパルナス駅発のTGVで約2時間と、「プラス1都市」としてちょうどいいですね。

ナントを選んだのは、ボルドー、ブルゴーニュに続くワインの産地であるロワール流域にあるので、「冬の大西洋の魚介類に合わせて飲みたいなあ」といった程度のあいまいなもの。あと、最近、芸術の街としても有名になってきたので、その様子も見たいと思いました。

そんなこんなでパリ行きの航空券を探したところ、エールフランスの直行便が13万円ほどで出ていたので迷わず購入。エアフラはエコノミーでもシャンパンが飲めるからです(笑)。割とサービスもいいしね。

クリスマスシーズンはフランス人も帰郷したりして交通機関が混むという話があったので、パリ・ナント間の鉄道チケットも抑えておきました。最初は国鉄(SNFC)のサイトで申し込もうとしましたが、途中で入力できなくなるところがあり(何か条件が合わないらしいが英語なのでよくわからない)、レイルヨーロッパにチェンジ。ここは日本人向けの代理店なのでスムーズに買えます。しかも、サイト上だけで申し込みを行えば、手数料もあまりかかりません(安心料だと思えばかなり安い)。

https://www.raileurope-japan.com/

ホテルはいつも通りエクスペディアで、1泊目のパリは何度か泊まっている北駅のHotel de l'Europe Gare du Nord、ナントはibis Styles Nantes Centre Gare、そして最後はパリのモンパルナスにあるHotel Apollinaireにしました。どれも駅近なのがポイントです。

以下に続く。

フランス旅行情報メモ2:「ナント・パス」は買ったほうがいいのか?2019年01月27日 03:55

ナントのトラム路線図と謎の黄色ライン
ナントに行った旅行者を悩ませる問題が「ナント・パス(Pass Nantes)」を買うべきかどうかだと思います。トラム(路面電車)やバスなどの市内交通が乗り放題であるうえ、さまざまな施設の入場料を含むこの手の観光パスは、通常、かなりお得なので、滞在日数に合わせた商品があれば購入したほうがいいのでしょうが、ナントに関してはけっこう微妙です。なぜなら、そんなに大きな町ではないので移動にあまりお金がかからないのと(ものすごくがんばれば徒歩だけでもなんとかなる)、パスで入れる場所が、年々、少なくなっているからです。その割には、価格はそんなに安くはありません。

24時間:25ユーロ/48時間:35ユーロ/72時間:45ユーロ

しかし、綿密に検討した結果、やはりパスは「買い」だという結論に達しました。というのは、観光の目玉である「ブルターニュ公爵城(の博物館)+ナント美術館」だけで18ユーロし、これにジュール・ベルヌ博物館(僕が行ったときは工事中で閉館だった)やナント島のマシンを加えれば30ユーロ近くかかります。したがって、72時間パスだとしても、あと15ユーロで移動がタダになるのですから(しかもチケットを買う手間も省かれる)、やはり便利です。ちなみに、狭い街とはいえ、自由にトラムに乗れるなら、1日に6回以上は利用します。それだけで10ユーロ以上はするはずです。

なお、ナント・パスは城の西側(入り口の近く)にある観光協会(Nantes.tourisme)でしか買えないと思うので、着いたら、まず、ここに足を運びましょう。スタッフは親切なので、情報収集には欠かせません。

ナント美術館はけっこう規模が大きく、展示作品もバラエティに富んでいるので、美術が好きな人であれば楽しめます。個人的にはクールベの「小麦をふるいにかける女(Les Cribleuses de blé)」がよかった。彼の作品で初めて感心しましたね。あと、キース・ヴァン・ドンゲンが1枚あったのもうれしかった(けっこう好き)。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Mus%C3%A9e_d%27Arts_de_Nantes

さて、ここからはトラムの話です。ナントは、一度、廃止した路面電車を復活させたことで街の活性化に成功し、その成果を知った他のヨーロッパの都市でもトラム見直し論が巻き起こったという歴史的な都市です。なので僕も積極的に利用したのですが、車内で路線図を目にしたとき、「あれ?」と疑問を感じました。上の図をクリックしていただけるとわかりますが、左がガイドブックやネットなどで確認できる正式なもので緑・青・赤の3路線なのに対し、車内のものではもう1路線、黄色が加わっているのです。しかし、緑に乗りながら観察してみても、そこに線路はないので、謎。

そこで乗換駅で降り、黄線のホームらしきところに向かったところ、真相がわかりました。正式なトラムではなく、バスをトラム風に運用していたのです。ご丁寧なことにトラムと同じ2両編成であるうえ、多くの区間で専用線を走り、プラットホームも設けられていました。つまり、利用するうえではトラムとまったく変わりません。黄線の沿線には大きなショッピングセンターもあるので(真ん中の島の南側)、乗る価値は十分にあります。ただし、実態はバスであるメリットも活かし、黄線の一部を走りながら途中で他の道路に向かう市バスも併用されているので、乗るときは「トラム風なのか、ただのバスなのか?」をちゃんと見極めないと知らないところに運ばれてしまいます。

ここで言いたいのは、町を活性化していくうえでトラムはかなり有効だということ。そして、完全なるトラムが建設できなくても代替手段はあるので、もっと柔軟に考えるべきだということです。とにかく、ナントの市内交通システムは多くの都市にとって参考にしたい点がたくさんあるので、関係者は、ぜひ、視察してください。

https://en.wikipedia.org/wiki/Nantes_tramway

フランス旅行情報メモ3:ナントを楽しむための情報いろいろ2019年01月27日 05:18

Passage Pommeraye
ここからは、まさにメモっぽい箇条書きで。

トラム1号線(緑)Mediatheque駅の南にある駐車場で、土曜日の朝8時から昼過ぎくらいまで、かなり大規模な市場が開かれます。観光客は眼中になく、純粋に地元民向けであるため価格は安いし(ちょっとおしゃれなハンチング帽が5ユーロだった)、売っているものも生活用品中心です。アラブ系住民の店が目立ったのも、今のフランスをリアルに表してますね。食べもの店も充実しており、この国で暮らすさまざまな民族の味を楽しめるはずです。できれば、もう少し遅い時間までやっていてほしい。

前項で紹介したショッピングセンター(Centre Commercial Beaulieu)は市内中心部ではもっとも大きいスーパーが併設されており、生活用品や食品、バラまき用のおみやげを買うには便利です。というか、その手の需要に応えてくれる店はここだけだと思う。割と貴重な存在です。

滞在中はいろいろなレストランで食事をしましたが、味はともかく、おもしろかったのはムール貝の専門店Aux Moules du Bouffayかなあ。基本メニューは茹でたムール貝にソースをかけたもので、僕はロックフォール(ブルーチーズ)味を選びました(どれでもまあまあ美味しいと思う)。洗面器いっぱいほどの量が出されるので驚くものの、殻込みなので完食できるはず(注文はこれだけで大丈夫)。せっかくなので地元名産の白ワイン「ミュスカデ」と一緒にどうぞ。

フランス国内でもナントにしかないものとしては、三階建てのパサージュ(アーケード)Passage Pommerayeが挙げられます。店舗巡りの楽しさに加え(個性的な店が多い)、斜面を活かした構造の妙や、内部を飾るさまざまな像など、見ているだけで楽しく、欧米では大人気の観光スポットです。ちなみにここも含め、ナントでは思った以上に日本人を見かけません。中国人観光客はそこそこいたものの、せっかくいいレストランに行ってもワインを頼もうとしないなど、ちゃんとフランスを味わおうとしているようには感じらませんでした。異文化への接触方法が、まだまだ未熟なんでしょうね。

フランス旅行情報メモ4:パリではどのエリアに泊まればいいのか?2019年01月30日 03:31

宿泊したホテルから徒歩1分のメトロ駅
「旅行情報メモ」といいながら、今回は情報性の薄い、個人的な好みの話です。

僕がパリでよく泊まっていたのは、北駅近くのHotel de l'Europeでした。ここを選ぶ理由は立地のよさにあり、北駅はシャルル・ド・ゴール空港と鉄道で直結しているうえ(この線は治安が悪いと言われた時期もありましたが、今はまったく問題ありません)、東駅も徒歩圏内であるため、便利だったのです。周囲はいつも旅人で賑わっており、それに対応した「時間を気にしないで済む」商業圏が形成されているのも魅力でした。

フランスに限らずヨーロッパでは原則として週末にはほとんどの店舗が閉まってしまいます。レストランも例外ではなく、土日になると食事をするにもけっこう苦労しました。最近はそこまで厳格ではなくなり、無休の店も増えたものの、それでも昔の苦い記憶が残っていた僕は、どうしても北駅に吸い寄せられていったのです。

旅人が多いエリアだけに安宿も多い北駅周辺ですが、そんななかにあって、このホテルはちょっと特別でしたね。主人はフランス人なのに流ちょうな日本語を話せたので何かと頼りになるし、公式サイトにも日本語のページがあるので安心して予約ができます。それでいて宿泊料もそんなに高くなく、朝食も付いていたから、満足度は高かったのです。あと、道路の向かいに小規模ながら気持ちのいい市場があり、到着した夜はそこのバーで飲むのが楽しみでした(今回も一泊目だけここにしたのは、そこに行きたかったからです)。

https://europe-paris-hotel.com/ja/

ところが、その後、パリの宿代がどんどん高くなり、このホテルも値上げが続きます(いつの間にか朝食も別料金になっていました)。時代を考えれば仕方がないとはいえ、結果的に他のエリアとの差がなくなってきたは事実です。加えて、北駅周辺の治安が徐々に悪くなってきたことも「宿泊エリアの見直し」に拍車を掛けました。

そんな経緯から、今回の渡仏では新しい宿泊場所を考えていたのです。さすがにカルチェ・ラタンあたりは人気が高すぎて無理だとしても(40年前に2000円くらいで泊まれたホテルが改修して10倍近い値段になっている)、モンパルナスであれば1万円前後でそれなりに快適なホテルがありそう。そして選んだのが、「ミラボー橋の下をセーヌが流れる」と書いた詩人の名前を冠したホテルでした。もちろん決め手は名前ではなく、何年もここを常宿にしているという日本のビジネスマンの書き込みです。

実際に泊まってみると、このエリアは便利なだけでなく、かなり楽しい。まず利便性のほうから。

・パリの上野駅ともいえるモンパルナス駅から徒歩10分以内にリーズナブルなホテルが多い(しかも今回泊まったホテルから徒歩1分のところに別のメトロ駅もあり、超便利)。
・地元の人を相手にしたレストランや商店が多く、生活がしやすい。
・シャルル・ド・ゴール空港へもバス1本で行ける(北駅ともメトロで直結)。

次に楽しい理由。
・パリの中では比較的、治安がいい。
・ブルターニュのガレットなどローカルフードの店も多い。
・大きなスーパーもデパートも徒歩圏内(fnacもユニクロもある)。
・サルトルやピカソ、そして藤田嗣治などの文化人が通った店が多く残り、パリの黄金時代を体感できる。
・カルチェ・ラタンへも歩いていけるし、パリ中心部ならどこでもメトロで30分以内。

そんなわけで、今後、ホテル代を下げる必然性が生まれない限り、このエリアに宿泊し続けたいと思っています(パリ中心部からメトロなどで30分以上かかるエリアであれば7000円前後で泊まれるホテルはありますが、そこで節約する意味が感じられないので)。